遺言書があれば相続争いはなくなる?争いになる遺言と「理由を伝える」コツ|相続のしくじり爺さん ブログ

遺言書があれば相続争いはなくなる?争いになる遺言と「理由を伝える」コツ|相続のしくじり爺さん

こんにちは。愛媛の工務店「ささき建設」会長、“相続のしくじり爺さん”のシゲさんです。私のような失敗をしないために、相続のお話を発信しています。

今回は「遺言書があれば、相続争いは完全になくなりますか?」というお話です。

この記事でわかること

  • 遺言書があっても相続争いがなくならない理由
  • 「長男に相続させる」だけの遺言書で起きやすいこと
  • 遺留分侵害額請求のしくみと期限
  • 分け方の理由と家族への思いを伝える方法
遺言書があれば相続争いはなくなる?と考えるしくじり爺さんシゲさん

結論:完全になくなるとは限りません

結論から言うと、遺言書があっても、相続争いが完全になくなるとは限りません。

場合によっては、遺言書が新しい争いの原因になることもあります。気をつけてください。

例えば「長男に相続させる」とだけ書かれていたら

例えば、遺言書に「実家と預金の大部分を長男に相続させる」とだけ書かれていたとします。

分け方だけの遺言書は争いの火種になる(理由が伝わらない・遺留分侵害額請求)

ほかの子どもには理由が分からないため、

  • 「どうして兄だけなの?」
  • 「親に無理やり書かせたのでは?」

という疑いや不満が生まれるかもしれません。疑いが強いと、「その遺言書は無効だ」と裁判で争いになることもあります。

遺留分を侵害していると「お金の請求」につながる

さらに、配偶者や子どもなどの遺留分(いりゅうぶん)を侵害している場合、遺留分侵害額請求という、お金の請求につながる可能性もあります。

  • 遺留分は、亡くなった方の配偶者・子ども・親に認められた「最低限の取り分」です(兄弟姉妹にはありません)
  • 割合は、原則として法定相続分の2分の1です
  • 請求できるのは、相続と遺留分の侵害を知ってから1年、亡くなってから10年までです

遺言書で「全部を長男に」と書いても、ほかの子どもの遺留分までなくすことはできません。

大切なのは「分け方の理由」と「家族への思い」

大切なのは、遺言書に財産の分け方を書くだけではありません。

遺言書に添えたい分け方の理由と家族への思い(付言事項・生前の説明・公正証書遺言)
  • 「介護を任せたから」
  • 「事業や実家を守ってほしいから」

など、その分け方にした理由や、家族への思いも伝えることです。

伝え方は、次の2つがおすすめです。

  • 遺言書の付言事項(ふげんじこう)に書いておく(法的な効力はありませんが、気持ちを伝えられます)
  • 元気なうちに家族へ説明しておく

また、公証役場で作る公正証書遺言なら、公証人が本人の意思を確認して作るため、「無理やり書かせたのでは」という疑いや、形式の不備が起きにくくなります。

よくある質問

Q. 遺言書で「全部を長男に」と書けば、ほかの子どもは何も請求できませんか?
A. いいえ。配偶者・子ども・親には遺留分(最低限の取り分)があり、侵害されていればお金で請求できます(遺留分侵害額請求)。兄弟姉妹には遺留分はありません。

Q. 遺留分侵害額請求に期限はありますか?
A. 相続の開始と遺留分を侵害する遺贈・贈与があったことを知った時から1年、または相続開始から10年を過ぎると請求できなくなります。

Q. 付言事項には法的な効力がありますか?
A. 法的な効力はありませんが、分け方の理由や家族への感謝を伝えることで、家族の納得を得やすくなります。

まとめ

  • 遺言書があっても、相続争いが完全になくなるとは限らない
  • 分け方だけの遺言書は、「どうして?」という不満や疑いのもとになる
  • 遺留分を侵害していると、遺留分侵害額請求(お金の請求)につながることがある
  • 分け方の理由や家族への思いを、付言事項や生前の説明で伝えておく
  • 遺言書は争いを止める魔法の紙ではなく、家族を守るための設計図

相続のことで何から始めていいのか分からない方、不安なことがある方は、お気軽にご相談ください。具体的なケースは、専門家に確認しながら進めましょう。

音声でも詳しく話しています。
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