愛媛の液状化で全壊1.6万棟は本当?今治・新居浜・西条で半分以上|県の新しい被害想定を防災士の建築士が解説|愛媛の工務店 ブログ

愛媛の液状化で全壊1.6万棟は本当?今治・新居浜・西条で半分以上|県の新しい被害想定を防災士の建築士が解説|愛媛の工務店

こんにちは。愛媛の工務店「ささき建設」の佐々木佳範です。

「南海トラフ巨大地震が起きたら、愛媛では液状化で全壊する建物が1万6千棟余り。そのうち今治・新居浜・西条の3市で半分以上」――。最近、こんなニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。

この記事でわかること

  • 愛媛県の新しい被害想定で、液状化による全壊が何棟と見込まれているか(市町別の数字つき)
  • 被害全体は半減したのに、液状化だけが約1.6倍に増えたこと
  • 耐震化だけでは防げない液状化に、ハザードマップでどう備えるか
愛媛の液状化 全壊1.6万棟ってホント?

本当なのか、どういう意味なのか。防災士で建築士の私が、愛媛県の資料で数字を確認してみました。

液状化の現場を見てきたからこそ

私は以前、地震で液状化した新潟の現場を実際に見に行きました。傾いた建物を持ち上げて直す「曳家(ひきや)」の工事も見学させていただきました。

また去年、愛媛大学の先生(だったと記憶しています)のお話を聞きに行ったとき、「新居浜や西条は結構浸かるよ」と、津波や液状化のリスクについて話されていたのを今でも覚えています。

地元の愛媛が大好きで、大事な人もたくさんいます。防災も、耐震も、断熱も、知識があるかないかで備え方が変わる。だからこそ、このニュースはしっかり確認しておきたいと思いました。

ちょうど11月4日には、新居浜市で、液状化や地盤沈下で寸断された道路を復旧させる訓練が、南海トラフ巨大地震に備えて行われたこともニュースになっていました。

数字を確認:液状化で全壊1万6,812棟

愛媛県が2026年2月に公表した「愛媛県地震被害想定調査 最終報告」(南海トラフ巨大地震)を見てみました。

  • 県全体の液状化による全壊:1万6,812棟
  • 市別:今治市 5,571棟、松山市 4,017棟、新居浜市 1,839棟、西条市 1,627棟
  • 今治・新居浜・西条の3市で合計9,037棟。全体の約54%
液状化で全壊1万6812棟の市町別内訳 今治5571・松山4017・新居浜1839・西条1627

ニュースのとおり、3市で半分以上というのはホントでした。一番多いのは今治市。松山市もかなり多いのですが、やはり東予の平野部や海沿いが影響を受けやすいと感じます。

全体は半減、でも液状化は1.6倍

気になるのは、被害全体は減ったのに、液状化だけは増えたことです。

  • 建物の全壊・焼失の合計:前回(平成25年)24万3,628棟 → 今回 12万6,325棟(約52%、ほぼ半減)
  • 液状化による全壊:前回 1万642棟 → 今回 1万6,812棟(約1.6倍)
建物の全壊・焼失は約半分、液状化による全壊は約1.6倍に増加

全体が減った理由は、県の資料では「震度6強以上の面積が縮小した結果、揺れ及び火災による被害が大幅に減少した」と説明されています。住まいの耐震化も進んでいて、県の資料では令和5年時点の耐震化率は86.4%とされています。

一方で、液状化が増えた理由は、私が調べた範囲でははっきりとは見つけられませんでした。計算の前提が変わったのかな、とも思いますが、くわしい方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

耐震化だけでは液状化は防げない

私がいつもお伝えしている「耐震化」は、揺れには効きます。

でも液状化は、家の下の地面が泥水のようになって、建物が沈んだり傾いたりする現象です。建物をどれだけ強くしても、液状化そのものは防げません。

もちろん、だからといって耐震補強をしなくていい理由にはなりません。地震で断層がずれる瞬間が防犯カメラに映った映像を見たこともあります。実際にどうなるかは誰にもわかりませんが、できることはやっておく。それが大事だと思います。

ハザードマップを見てから家を選ぶ

結局、私が一番お伝えしたいのはこれです。

  • 家を買う前に、ハザードマップで液状化のリスクを確認する
  • 実家がハザードマップにかかっているなら、対策を考えておく

私の地元・新居浜にも池があります。もしあふれたり決壊したりしたら、どんな被害になるのか、どこまで影響が出るのか。液状化だけでなく、洪水や津波も含めて、一度ハザードマップで確かめておくと安心です。

松山も今治も新居浜も西条も四国中央も、瀬戸内海のすばらしい景色が見える町です。その一方で、液状化のリスクもあるということは、知っておいた方がいいと思います。

あわせて、耐震化・家具の固定・感震ブレーカーの設置など、液状化以外の備えもしておきましょう。

愛媛の液状化 要点まとめ インフォグラフィック

私自身のこと:資格より「生きる知識」

建築士で防災士ですが、資格だけでは食べていけません。大事なのは、いざというときに役立つ知識とサバイバル能力だと思っています。キャンプのスキル、火おこし、川の水をどうやって飲める水にするか……。好奇心のままに、いろいろ計画を立てて行動していきたいと思います。

よくある質問

Q. 愛媛で液状化による全壊は何棟と想定されていますか?
A. 愛媛県地震被害想定調査 最終報告(2026年2月公表・南海トラフ巨大地震)では、液状化による全壊は16,812棟です。前回想定(10,642棟)の約1.6倍になっています。

Q. 今治・新居浜・西条で半分以上というのは本当ですか?
A. 本当です。今治市5,571棟、新居浜市1,839棟、西条市1,627棟の合計9,037棟で、県全体の約54%にあたります。

Q. 耐震化すれば液状化も防げますか?
A. 耐震化は揺れによる倒壊を防ぐのに効果的ですが、液状化は地面そのものが泥水のようになり建物が沈んだり傾いたりする現象なので、建物を強くするだけでは防げません。家を建てる・買う前にハザードマップで液状化のリスクを確認し、必要に応じて地盤の対策を検討しましょう。

まとめ

  • 愛媛県の新しい被害想定(南海トラフ巨大地震)で、液状化による全壊は1万6,812棟。前回の約1.6倍
  • 今治・新居浜・西条の3市で約54%。「半分以上」はホント
  • 被害全体は約半分に減ったが、液状化だけは増えた
  • 耐震化は揺れに効くが、液状化は建物を強くしても防げない
  • 家を買う前・実家について、ハザードマップで液状化のリスクを確認しておく

土地選びや、ハザードマップを踏まえた家づくり・耐震リフォームについて、お気軽にご相談ください。

PAGE TOP