壁が取れない家、どう耐震補強する?専門家に学んだ3つの視点 ブログ

壁が取れない家、どう耐震補強する?専門家に学んだ3つの視点

結論:壁が取れないときこそ、診断と専門家への相談から

「車庫や玄関があって、ここには壁を増やせない」。耐震補強を考えるとき、そんな悩みにぶつかることがあります。大切なのは、思いついた工法をすぐ足すことではなく、建物を診断し、条件に合う補強方法を比較することです。

こんにちは。愛媛県の工務店「ささき建設」の佐々木佳範です。今回は、耐震改修に詳しい先生方に相談して、改めて気づいたことをお話しします。以下の相談内容や金額は、私の経験・検討段階の話です。工事の効果を検証した実績紹介ではありません。

1.壁の量だけでなく、方向と配置を見る

相談した建物では、ある方向には壁を確保できても、別の方向は車庫や玄関があり、補強する壁を取りにくいという課題がありました。家を一方向からだけ見て「壁が多いから大丈夫」とは判断できません。

壁の配置だけでなく、接合部、基礎、劣化の状態なども関係します。図面と現地の状況を確認し、建物全体で検討する必要があります。

2.経験のある人に聞くと、選択肢が広がる

今回の相談では、建物の外側に新しく基礎を設ける案や、「ガーディアンシールド」という工法名も話題になりました。自分だけでは思いつかなかった選択肢に触れられたことが、大きな学びでした。

ただし、これらがどの家にも使えるわけではありません。敷地条件、既存部分とのつながり、施工条件などを確認し、専門家が適否を判断します。

音声中の「一間幅で合板を張っても耐力が出にくい」という趣旨の発言は、その相談物件での検討を指します。一間幅の合板耐力壁が一般に無効という意味ではありません。壁の仕様や接合方法などによって性能は異なります。

3.費用だけでなく、暮らしへの影響も比べる

私は約2時間半のオンライン相談で、3つの現場について助言をいただきました。工事に踏み出してもらうためには、安全性の検討とあわせて、お客様の負担にも目を向けたいと感じています。

私の相談経験では、補助制度も踏まえ、自己負担100万〜200万円程度を念頭に考える方もいます。ただし、これは工事の相場や標準価格ではありません。必要な工事、建物の状態、自治体の制度によって費用は変わります。この金額で必要な補強が必ずできるという話でもありません。

低コスト耐震補強の手引きでは、強度に加えて、コスト、施工性、仕上がり、居住性などを考慮して工法を選ぶ考え方が示されています。安さだけでなく、必要な性能と暮らしの負担を一緒に比べたいですね。

また、よく過ごす部屋の部分的な断熱改修も同時に検討できないか、私は日々考えています。耐震と断熱では目的が違うため、予算や工事範囲を整理して相談することが大切です。

よくある質問

Q.壁を増やせない家は、耐震補強を諦めるしかありませんか?
A.そうとは限りません。ただし、使える方法は建物ごとに異なります。まず診断結果と現地条件をもとに、専門家へ相談してください。

Q.補助金を使えば、自己負担100万〜200万円でできますか?
A.一律には言えません。本文の金額は私の相談経験の一例です。対象工事、補助条件、申請時期、自己負担額は自治体と施工者に確認しましょう。

Q.相談前に何を用意すればよいですか?
A.手元にある図面、建築時期が分かる資料、過去の改修履歴、困っている場所の写真をまとめておくと話が進めやすくなります。資料がなくても、まず相談して構いません。

まとめ:引き出しを増やし、家ごとの答えを考える

今回の学びは、①建物全体を見る、②専門家と選択肢を広げる、③性能・費用・暮らしの負担を比べる、の3つです。

「餅は餅屋」。その道のプロに教わり、自分も一歩ずつ近づいていく。その積み重ねを、お客様への提案につなげたいと思います。

今日できる一歩は、「補強したいけれど、使い勝手を変えたくない場所」を一つメモすること。皆さんの家では、どこが気になりますか?


詳しい音声はこちら:
#616 耐震補強!その道のプロに聞くのが1番!

この記事を書いた人:佐々木佳範。愛媛県の工務店「ささき建設」代表。設計・施工・維持管理の視点から、地域の暮らしに合う家づくりを発信しています。

参考資料

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