耐震補強は壁だけで大丈夫?柱の接合部を確認したい理由 ブログ

耐震補強は壁だけで大丈夫?柱の接合部を確認したい理由

耐震補強:壁を増やす前に接合部を確認。ささき建設・佐々木佳範

「耐震補強は、壁を増やせば大丈夫」と思っていませんか。

壁が力を発揮するには、柱の頭と足元などの接合部も大切です。愛媛の工務店「ささき建設」の佐々木佳範が、壁・接合部・基礎まで含めて考えたい理由を、実務での学びからお話しします。

壁を増やす前に、つなぎ目を見る

耐震改修の相談を受けるなかで、壁の量だけでは説明できないことに向き合います。壁を補強しても、接合部などの条件によっては、期待したほど診断評点が改善しないことがあるからです。

壁の強さと、建物全体としての耐震性能は同じではありません。壁の配置や劣化状況も含めて確認する必要があります。

柱の「頭」と「足元」は、どこにつながる?

柱の上側は梁や桁、下側は土台などにつながっています。この接合部を、柱頭・柱脚と呼びます。地震で建物が変形すると、場所によって柱が引き抜かれる方向の力が生じます。

必要な接合性能が足りず、先に接合部が壊れてしまうと、壁の性能を十分に生かせない可能性があります。金物はそのための対策の一つです。

大切なのは「何か金物を付ければよい」ではなく、その場所に必要な性能と、正しい取り付け方を確認することです。

壁・柱頭柱脚の接合部・基礎を合わせて確認する概念図
ささき建設作成。概念図であり、施工図・構造設計図ではありません。

壁・接合部・基礎を、一緒に考える

たとえるなら、強い布を用意しても、留める部分が弱ければ十分に張れないのと似ています。壁だけを強くして終わりにせず、力を次の部材へ伝える部分を考えます。

土台と基礎をつなぐアンカーボルトや、基礎の状態も確認項目です。ただし、金物やアンカーボルトを増やせば必ず改善するわけではありません。既存部材の状態、必要な耐力、施工できる位置などを踏まえた検討が必要です。

リノベーションでは、見えない部分をどう扱う?

新築と違って、既存住宅には図面だけでは分からない部分があります。仕上げに隠れた接合部や、傷んだ木材が見つかることも想定しなければなりません。

私はリノベーションや耐震補強に取り組むほど、調べること、学ぶことの多さを感じます。分からない箇所を推測だけで済ませず、必要な調査と、工事中に分かったことを計画へ反映する姿勢を大切にしています。

補強前に聞きたい3つの確認事項
ささき建設作成。概念図であり、施工図・構造設計図ではありません。

相談するときに聞いてほしい、3つのこと

  1. 壁だけでなく、柱の頭と足元の接合部も確認していますか。
  2. 土台・基礎や劣化の状態まで含めた補強計画ですか。
  3. 工事中に想定と違う状態が分かった場合、どう対応しますか。

地震そのものを止めることはできません。でも、住まいの状態を知り、できる対策を考えることはできます。予算や暮らし方も含めて、まずは調査・診断から相談してみてください。

小さく見える接合部にも、大切な役割があります。ご自宅の「つなぎ目」について、説明を聞いたことはありますか。

よくある質問

壁が多ければ、耐震性は十分ですか?

壁の量だけでは判断できません。配置、接合部、基礎、劣化なども含めて診断します。

金物を自分で取り付けてもよいですか?

必要な性能や取り付け条件を判断する必要があるため、自己判断での追加は勧めません。耐震診断・補強設計を行う専門家へ相談してください。

決まった金額で耐震補強できますか?

調査結果と補強範囲により異なります。部分補強で建物全体の性能が保証されるわけではありません。

※金物を付けるだけで安全が保証されるわけではありません。建物全体の調査・診断に基づいて補強を計画します。音声内の金物区分や数値は、個々の住宅にそのまま適用できる仕様ではありません。

詳しい音声はこちら:
https://stand.fm/episodes/6aa5c3771c11eadafe31b684

この記事を書いた人

佐々木佳範。愛媛県四国中央市の工務店「ささき建設」代表。設計・施工・維持管理の視点から、家づくりの判断に役立つ情報を発信しています。

参考資料

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